十字路の墓

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「そうは言いますが、君は亡霊を見た事があるのですか?」 「無い……ですけど」 「そうでしょう」 「けど、そんな事を言うなら、キルケゴールさんは神さまを見た事があるんですか?」 「……」 こいつらは平気でこういう事を言う。 「無いでしょう?見たことが無いなら居ないって言うなら、神さまも居ないんですか?」 「そうですね」 「え?」 「なんでもありません。……兎も角、ここには特に変わった様子は無いようですし、ここに居ても何も解決しません。帰って妹さんの側についていてあげるのが良いのでは?」 「だけど、何もせずに帰るんですか?」 「何をしろと?」 「だから。お払いとか、徐霊とか、なんでも良いからやって下さいよ。あのクリステンセンの婆さんは魔女だったんでしょ?魔女が亡霊になって蘇ったんですよ。そうに決まってます」 それは魔女なのか、亡霊なのか?どっちなんだ。 いや、どっちでも良い。 そんなものは居ないのだ。
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