7人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「何か?」
私達の様子に、男は訝しげな顔をした。
「いや……」
「実は、クリステンセンさんはお亡くなりに……」
「死んだ?あの婆さんが?」
男は驚いた様子で聞き返した。
私が頷くと、ううんと唸り、
「確かに、年だったからなぁ」
と呟くように言った。
「はあ……」
少年が曖昧な声を漏らす。彼も「クリステンセンさんは自殺したんです」とは言いにくいようだ。
何しろ、我々はクリステンセンの墓のほとんど真上で話しているのだ。
おまけに、ついさっきまでクリステンセンは魔女に違いないだとか、亡霊になったのだ、などと言っていたのだ。
とは言え、隠す事でもない。
「実は、クリステンセンさんは自殺されたんです」
私がそう言うと、男は再び驚いた顔をした。
「自殺?」
「ええ」
「……信じがたいな」
まあ、そうだろう。
「本当です。短刀で首を切って……」
「短刀で?首を切った?」
「ええ」
「また派手な……」
男は、どこかで聞いたような反応をした。
最初のコメントを投稿しよう!