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私は一つ息をつき、祈りの言葉を捧げ始めた。
「この者、コニー・クリステンセンは、その与えられた生を終え──」
だが、この期に及んで、男達はこそこそと話をしている。
「しかしまあ、70にもなる婆さんが自殺とはな」
「しかも、首切ったんだろ?派手だねぇ」
「何が悲しくて自殺なんぞしたんだろうな?」
「70にもなってな」
私は、その声を耳から追い出そうと、大きく声を張り上げた。
「──永き旅路に着きます。その旅の──」
しかし、男達の声は止む事は無かった。
「そうだよ。70にもなって自殺する理由があるか?ほっといたってじきに死ぬ」
「違いない。それを、なんでわざわざ……ああ、うるさいな。何をはりきってるんだ、あいつは」
「しっ。聞こえるぞ」
「構うかよ」
「葬式なんだぞ。少しは厳粛な態度を──」
「あん?お前だって喋ってるだろうが」
「ふりで良いんだよ。いいから静かにしろ」
「──魂は父なる天の元に、身は母なる大地の元に。この者が安らかに憩いますよう」
私は、祈りの言葉を捧げ終え、男達を振り返った。
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