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♥♠♦♣
昼、住宅街。
「ただいま―!!」
元気な男の子の声が、玄関に響いたかと思うと、今度ははバタバタとにぎやかな足音が響き渡る。
そして彼は、身につけていた鞄などをバコンとソファーに放り投げると、素早く着替える。
お気に入りの赤いマフラーも忘れない。そして…
「いって来ま~す!!」
「いってらっしゃ~い🎵」
母、駒崎緑(コマザキ・ミドリ)のほんわりとした声を聞くと、駒崎璃央(コマザキ・リオ)五歳は彼女そっくりの顔で笑う。
そして、急いで靴をはくと、元気良く家を飛び出した。
まだ彼はメガネをかけておらず、無邪気で活発的である。
外の世界に興味津々で、こうして毎日のように刺激を求めて外へ飛び出す。
空は晴天、走って行けば、町は賑わい、まるで目に見える全てが笑っているようである。
…何かいいことありそうだな。
自然に微笑みながら歩いて行くと、事態は変わる。
「放せ!!馬鹿!!」
白いポンポンを着けた女の子が、黒い服を着た男達に囲まれてつまみ上げられて暴れている。
……えっ…何あれ!?
璃央は見慣れない風景に、どうしたら良いかわからず、母緑の言葉を思い出す。
『い~い璃央ちゃん、もし女の子が困っていたら、男らしく助けてあげるのよ🎵』
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