♥♠赤いマフラー♦♣

3/4
前へ
/4ページ
次へ
♥♠♦♣ 昼、住宅街。 「ただいま―!!」 元気な男の子の声が、玄関に響いたかと思うと、今度ははバタバタとにぎやかな足音が響き渡る。 そして彼は、身につけていた鞄などをバコンとソファーに放り投げると、素早く着替える。 お気に入りの赤いマフラーも忘れない。そして… 「いって来ま~す!!」 「いってらっしゃ~い🎵」 母、駒崎緑(コマザキ・ミドリ)のほんわりとした声を聞くと、駒崎璃央(コマザキ・リオ)五歳は彼女そっくりの顔で笑う。 そして、急いで靴をはくと、元気良く家を飛び出した。 まだ彼はメガネをかけておらず、無邪気で活発的である。 外の世界に興味津々で、こうして毎日のように刺激を求めて外へ飛び出す。 空は晴天、走って行けば、町は賑わい、まるで目に見える全てが笑っているようである。 …何かいいことありそうだな。 自然に微笑みながら歩いて行くと、事態は変わる。 「放せ!!馬鹿!!」 白いポンポンを着けた女の子が、黒い服を着た男達に囲まれてつまみ上げられて暴れている。 ……えっ…何あれ!? 璃央は見慣れない風景に、どうしたら良いかわからず、母緑の言葉を思い出す。 『い~い璃央ちゃん、もし女の子が困っていたら、男らしく助けてあげるのよ🎵』
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加