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仕事でのストレス解消のために、居酒屋で飲んできたのだが、酔えるほどは呑めなかった。
香山の会社は、さほど大きくもなく、給料も良くはない。
着ているスーツだって安物だ。
生活もギリギリで、居酒屋に行ったところで、ビール瓶1本に、酒の肴に何か1品、それが精一杯だった。
思いっきり酔いたくても、香山のふところ具合が、それを許してはくれない。
中途半端に酔ったところで、余計にストレスが溜まりそうだが、呑まずにはいられない。
香山は、ほとほと今の生活に嫌気が差していた。
大学を卒業して、地元を離れ、今の会社に就職して3年、生活に余裕はなく、彼女もいない。
何の楽しみもなく、会社と安アパートを行き来する毎日。
休日は、溜まりに溜まった洗濯物を片付けると、もう出掛ける気力もなくなる。
仕事に、やりがいを見いだせるなら良かったのだが、この3年でそれは無理だと分かった。
今の仕事は、自分には向いていない、そもそも口下手なのだ。この仕事を始めてから、香山自身も気づいた。
よく3年も続いたものだと、自分でも思う。
辞めてしまいたい。しかし、今は不況だ、そう簡単に次の仕事は見つからない。
そう思い、必死でやってきたが、最近は限界にきていた。
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