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小学生の頃に私が高い所と
水を恐れるようになった
決定的な出来事がある
それは真夏の恐怖
ウォータースライダーである
親戚と一緒に隣町のプールに
遊びに行った時のことである
そこには当時人気だった
ウォータースライダーがあった
当然のことながらみんなで
滑ろうという話になった
皆さんもご存知の通り
ウォータースライダーは
寝ながら滑るほうが
スピードがでる
そして私はこの体勢で
スライダーを滑り始めたのだ
間もなくして私の体は
勢いよく加速しはじめた
そして次の瞬間私の体は
ふわっと浮いたのだった
辺りを見回すと私の体は
半分以上スライダーから
飛び出しており下に目をやると
5メートル程先に緑色の
アスファルトが見えていた
無重力状態になった
私の体は全くの無防備
身を任せることしか出来ない
この時私は死の恐怖を知った
そして私は目をつぶった
その直後背中にプラスチックが
ささるような衝撃が走った
生きていた
スライダーは体が浮き上がった
方向にカーブしており
何とかそこに着地したのだ
スライダーの出口で私の体は
水しぶきとともに投げ出された
しかし恐怖を体験したばかりで
私は立つことができない
右も左も上も下もわからない
完全にパニックを起こしていた
大量の水を飲み息もできない
必死になってもがいた
そうしているうちに私の体は
係員の手で拾い上げられた
プールから上がった私は
しばらくアスファルトの上から
スライダーを眺めていた
元々そんなに好きでなかったが
この日から私は高い所と
水に怯えるようになった
そしてこのスライダーは
今でも存在しているのだ
あの時の私と同じ体験をした
子供たちはどれくらい
いるのであろう・・・
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