2人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
彼女とは何度も試合をしたが
一度も勝つことはできなかった
私がただ弱かったわけではない
これでも県大会常連校の
レギュラーの座にいたのだ
だけどどうしても勝てなかった
彼女よりも強い相手に勝つのに
周りから見ればふぬけた
試合に見えるのであろう
彼女に勝てない私に向かって
顧問のメガネはよく怒鳴った
その光景を見て彼女は私に
気を使ってくれていたのか
『今日は私の調子が良かっただけだよ』と話しかけてくれる
そんなちょっとした言葉が
当時の私にはうれしく思えた
結局の所私は勝負師ではない
私情が入れば力が出せない
私は甘い人間なのだ
最初のコメントを投稿しよう!