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手足の痺れが抜けて来て、呼吸が落ち着いて来た事に気付く。
ビニール袋を押さえていた手を握ると、まだ硬直が解けきってないらしく違和感が残る。
「……はぁ……」
わざとため息をしてみる。
それから、息を止めてみる。
呼吸が戻った事を確認して、袋を外した。
起き上がろうと思っても、体を動かすのが億劫で、そのまま、ぼんやりと馴染んだ部屋を眺める事にする。
まず目に入ったのは、大きめのタンス。中身は殆ど女物だが、彼は全く気にしていない。
タンスの隣には細長く、シンプルな全身鏡がある。彼が来る以前からある鏡だ。
窓は全開で、湿気を含んだ少し冷たい風が入り込んでいる。
その窓の脇に、滅多に使わないパソコンがラックに乗っている。彼にとっては要らない物だが、捨てるのもなんだか勿体なくて、未だに置いてある。
パソコンの向かいに、最近買った大きく立派な本棚がある。だが、肝心の本はあまり無く、魔法専門書が数冊倒れてる。下の方に、四十枚程のCDと、数十万のコンポが適当に置かれている。
ベッドは、デザインこそシンプルだが、寝具も含め高級品だ。
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