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パソコンの横に置いた携帯を開くと、五時三十二分を指していた。
何するにしても、中途半端な時間だな。とラークは思い、椅子に座って外を眺める事にする。
向かって右側には、道を二つ跨いだ先に、白い砂浜と、静かに波打つ海がある。
正面は海岸線と、それなりに整備された道路が伸びている。こんな時間では走る車も、歩く人も殆ど無く、ゴーストタウンと化している。
左側は観光地として栄えている街らしく、高級ホテルや観光客目当ての施設が立ち並んでいる。
「ふぁ」
小さく欠伸をして、窓枠に顎を乗せる。
三年前、ラークは直視出来ない程にボロボロの体で、このオナハ島の道端に倒れていた。
何人もの通行人が『関わりたくない』と無視していく中、二人の男が彼の元に来た。
一人は、隣の部屋で眠っている相棒。もう一人は、この世にいない。
「はぁ……」
思い出し、ため息をついた。
その人は、ラークが殺した。 何度もナイフで斬られ、刺されたであろう彼は、それでも彼を信じ、大切な者を託した。
それが、隣の部屋で眠っている相棒だ。
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