退屈

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 ガルクを見てまず印象に残るのはその体格だ。  ニメートル近い身長と、隆々の筋肉で、一言で言うと『巨漢』であり、小柄で細身なラークとは対照的だ。  男性にしては長めの明るい金髪と、浅瀬を思わせる青い瞳。  南国に暮らしていても、あまり焼けない白い肌。  整った顔立ちに、仕草にも滲み出る高貴さと柔和な笑みが、彼から威圧感を無くしている。  彼の名前は『ガルク=リバー』だが、それは本名ではない。    首から下げられた、繊細な細工の首飾りは、王家の紋章。  ガルクはこの国の第一王位継承権を持つ、言わば王子。  彼の本名は『クウォール=エル=ウェル=リンバーク』当然だが、ラーク以外にそれを知っている人は殆どいない。   「どうした?」    顔を洗って来たガルクは、ラークがぼーっと自分を見ている事に気付き言う。   「ん? ちょっと考えてただけだ」   「へぇ? 何を?」    なんとなくガルクは言いラークは少し困った顔をする。   「お前も物好きだなって思ってたんだ」   「変な事考えてるな。お前」    ガルクは苦笑しながら髪を梳かす。
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