1659人が本棚に入れています
本棚に追加
「オーバーキル! オーバーキル! オーバーキル!」
割れんばかりの悪意の歓声は、少年の耳に届いていない。
円形のコロシアムの中、少年は沢山の少年達と共に放り出されていた。
同じ様にガリガリに痩せこけ、ボロボロの衣類を纏った少年達。その中にいても、白い髪と美しい顔立ちが目立つ。
「パーティーが始まりますよ!」
ワァァァァァァァァ!!!!
一気に興奮する観客に、少年達はビクリと身を竦め、怯えて身を寄せる。
白い髪の少年は『それ』に気付く。周りに伝えようとしても、声も表情も失った少年に『それ』を伝える術はない。
「腹ぺこワンちゃんの登場だぁ!」
屈強な男に連れて来られたのは、頑丈な鎖に繋がれた大型犬だ。人の肉の味を知っている目に、少年は恐怖する。
「イッツ・ショウタイム!」
号令と共に、鎖が解かれ涎を撒き散らしながら走る。
同時に少年も走る。
逃げる少年の背中に、甲高い悲鳴が突き刺さる。
見ると、突進と鋭い牙により、二人が息絶え、犬に食い荒らされていた。
最初のコメントを投稿しよう!