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飢えにより、少年達の体力はあまり残されていない。犬は狂喜しながら、少年達を食い荒らして行く。
「さあ、残り一人! しっかり逃げるんだぞ!」
白い髪の少年は犬の突進を髪一重で避けた。だが、突進の勢いに、バランスを保てず少年は転倒。その隙を見逃す訳もなく、犬は噛み砕こうと走る。
少年は立つ事が出来ず、走り来る犬を恐怖を湛えた目で見る。
「なんだなんだ!? 逃げないのか!?」
自分を庇う為に顔の前で交差させた腕は、バキバキと音を立てて一瞬で噛み砕かれた。
激痛に何も考えられなくなる。それでも、死にたくなくて、必死にもがく。
ガッ!
少年は偶然、犬の喉元に噛み付いた。
犬が痛みと驚きに暴れる。自分の倍の体長の犬に、少年は決死の思いでしがみつく。
やがて、犬が倒れた。それでもまだ死んでない。
犬が死ぬまで、死んでからも、しばらく食らいついたまま離さない。
「なんと、ワンちゃん死亡だ!」
観客は大喜びだった。少年は、犬と自らの血で、全身を赤く染めていた。
少年は生き血の生臭さにえずいた。観客は大喜びだった。
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