起床

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 彼はハッと目を覚ました。   ……夢、か。    頭では理解していても、起き上がる事も出来ない位に体は強張っている。  暑いはずの部屋の中、ゾクリと寒気がし、強張った体がガタガタと震え出す。   どうしてこんなに震えるんだ?    自問しても答えは無く、強張り、震える体を丸め、寒気から逃れようとする。  体を丸めたせいか、息が苦しい。どんなに息を吸っても、苦しくて吐いてしまう。吐けば苦しくなってまた吸う。    ……過呼吸だ。    気付いた彼は枕元の袋を震える手で掴み、鼻と口を覆った。  自分に無関心とも思える程に心は静かなのに、裏腹に体はパニックを起こして居て、なんだかおかしかった。  自分の体なのに、違和感を感じる。思う様に動かせるのに、それが不思議に思えてくる。    過酸素状態により、頭は呆としてはっきりしない。手足は冷たく痺れて感覚がない。体の感覚は曖昧で、まるで空に溶けて行く様にも思えてきた。    頭が呆としているせいなのか、苦しいはずなのに、苦しいと感じない。  でも、ひたすらに重い瞼に、意識を失いそうになっている事を報された。
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