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(月面基地近海)
2009年4月1日、第三艦隊の指揮官の任命を受けた三平はエンタープライズを月面基地に向けて出向し、翌日に到着していた。
かつて、地球近海の鉄壁の守りを誇った月面基地・・・。
彼ら、屯田兵が一番長く暮らした基地でもあった。
三平「月面基地にやっと到着か・・・・・・・・杉野少将」
三平がそう言って、卒業後に三平と共に軍に残った男、杉野竹斗こと竹を見た。
かつて、在学中反面教師の代名詞として幅広く北海道中に知れ渡り、オーバーリミッツ(退学寸前)の悪名でも知られた彼もまた、三平と同じくフェバット本星での功労者の一人だった。
竹「なんですかね?本間中将」
竹が三平に向き直った。
三平「なれないなぁ・・・・・・・・・・・ついこの前まで、竹三平で呼び合った中だしな・・・・・・・」
竹からなれない呼び方をされたせいか、三平が微妙に落ち着かない。
竹「仕方ないだろ?・・・・・・・俺は第三艦隊参謀長、お前は第三艦隊司令官なんだから・・・・・・・・・昔みたいに、学生じゃないんだ、メリハリはつけねば」
普段は、思いっきり適当な竹に正論を言われてしまい、三平がしぶしぶ指揮官用のデスクに落ち着いた。
三平「か・・・・・・・副官」
三平がそう言って、そばにいた自分と同年代の女性を呼んだ。
彼女の名は、桜庭神那・・・彼女もまた、前大戦で三平の幕僚、その時も副官として一緒に戦った戦友だった。
神那「はい閣下」
優雅な歩き方で、神那が三平に歩み寄った。
それもそのはず、彼女はフェバット帝国故ニヒト皇帝の第一皇女であり、前大戦にフェバットからスパイとして地球に派遣されていた女性なのだ。
しかし、彼女はフェバット帝国の侵略に疑問を抱き、沢山の出会いを経て地球人として生きる決意をしたのだった。
三平「コーヒーをいただきたいんだが・・・・・」
神那「はい、閣下」
神那が慣れた手つきで、コーヒーをいれる。
エンタープライズのブリッジに、コーヒーのいい香りが充満する。
彼女の手には、指輪が光っていた・・それは、紛れもなくエンゲージリングであった。
竹「ところでご両人、結婚式の日取りは決まったのか?」
竹がそう言って、二人を見た。
三平「・・・お前、相変わらずだな・・・・・今は、仕事中だろうが」
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