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三平が溜め息混じりに竹を見た。
三平は、艦隊司令官の立場であり、神那は三平の副官という立場であった。
二人は、極力ブリッジや仕事中は、そういう素振りも見せないようにしていた。
勿論、部下への示しがつかないからだ。
竹「だって気になるじゃん・・・・・・・・なぁ、春木中尉」
春木「え!?」
オペレーター席で座っていた春木カエル中尉(昇進)が、椅子からずり落ちかけた。
彼も前大戦で、エンタープライズの補充要因として、共に激戦を生き抜いた仲間であり、軍に残った数少ない生徒の一人であった。
ただ、彼自身は実力はなく、口先ばかりのプライドの塊で、その上女好きだったため、ほとんどの仲間からは相手にされなかったが・・・・・・
竹「このブリッジにいるのは、ほとんど戦友だ・・・・・・・・・気にならない方がおかしいよな?」
竹が意地悪く笑いながら、春木に同意を求めた。
春木「えっと・・・・・・・・・その・・・・気になりますが・・・今は勤務中ですし・・」
竹「柳レーダー手もそう思うよな?」
竹がそう言って、話題を柳恵美レーダー手に振る。
彼女もまた、春木と同様にエンタープライズの補充要因としてやってきた後輩で、一年生ながら現場からの軍務通信課程に学科を切り替えて、エンタープライズに残ったのだ。
恵美「はい!気になります!」
恵美が満面の笑顔で、竹に同意した。
竹「ほらみろ、和君!」
三平「和君じゃねぇ!!そう呼んでいいのは、おばあちゃんだけだ!!」
三平がキレのいい突っ込みを見せる。
竹「ごめんごめん、まーくん」
三平「誰だよ!」
竹「本間司令、司令官たるもの部下の前では毅然となさった方が・・」
竹が見事な突っ込みを繰り広げる三平に、手のひらを返したように参謀長としての正論を述べた。
三平「うるせぇ!引き金」
竹「ぷ」
三平「ふはは!」
神那「クス」
春木「ぷっ」
恵美「はは」
みんなが笑い出した。
竹「はぁ、おかしかった」
竹が笑いすぎて、ズレたサングラスをかけ直した。
三平「全く・・・・・・・本当に、お前は自分のペースに持ってくのがうまいな」
三平が感心しながら、竹をみる。
竹「お前に誉められるなんて、落ち着かないな」
神那「確かに、前大戦は色んな方を手玉に取られましたし」
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