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神那の言葉は、決してお世辞ではなかった。
杉野竹斗がいたからこそ、屯田兵は前大戦で大敗喫した火星奪還作戦を回避し、さらにフェバット帝国のスパイ、タイヤや親衛隊を手玉にとり、文字通り犠牲をほとんど出さずに切り抜けたのだ。
竹「副官殿に誉められるとは、照れますなぁ」
竹が笑いながら、ブリッジを見渡した。
竹「・・・・・・・・・・・・・はぁ~隠居したい」
三平「来たばかりじゃねぇか!!」
またブリッジが爆笑に包まれた。
(月面基地司令部)
かつて、故ディオン・ゾフ大将が納めし月面基地は、今や杉野竹斗達の元担任山崎大将が総司令になり、ゾフ大将の副官だったフロン少将(フェバット本星侵攻作戦後に昇進)は、月面駐留艦隊司令官になっていた。
三平「地球統合軍宇宙軍所属、第三艦隊司令官本間和彦中将です!」
三平が見事な敬礼で、山崎総司令に挨拶をした。
山崎「おお!本間、卒業おめでとう!」
山崎がそう言って、かつての教え子の肩をポンポンたたきまくった。
山崎「まさか、卒業の74単位に40単位も足りなかったお前が、特例で卒業できるとは思わなかった」
三平「相変わらずですね、山崎総司令」
三平の触れてほしくない部分に、ずけずけと触れてくる山崎を見て三平が思わず溜め息混じりにそうつぶやいた。
山崎「今もエンタープライズか?」
三平「今ってか、スタートからエンタープライズです・・・・・・」
山崎「そかそか」
三平が不安になりながら、山崎総司令を見た。
山崎総司令が適当総司令と呼ばれ、地球統合軍議会から本当にいい評判を得ていないことがよくわかる。
山崎「これからどうするの?」
三平「予定通り、この艦隊は、エンタープライズ以外、軍の人間で構成されていますし・・・・・・・・・まずは、連動性を高めるために航海訓練です」
相変わらず、スケジュールを把握しない山崎に呆れながら三平が説明した。
山崎「そうか、気をつけて」
山崎がそう言うと、また肩をポンと叩いた。
三平「・・・・・・・・・失礼します」
山崎「元気でね!」
三平が退室した。
こうして、三平のエンタープライズ以下の第三艦隊は火星前線基地までの訓練航海に出たのだった。
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