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レヒト皇帝がそう言って、リグレス元帥を見た。
レヒト皇帝は、寛大な男であった。
頼まれもしなくとも相手の安全を考えて、進んで無償で護衛までもつける。
彼が上に立ったからこそ、地球統合軍も彼らフェバットを信用したとも言える。
リグレス「それでは、フェロー元帥に連絡を致します」
レヒト「ああ、たのむ」
リグレス元帥がそう言って、謁見の間から退室した。
地球統合軍とフェバットは、一年の間に軍備補強をすすめ、ついには全盛期の二番にまでなっていた。
その際に、地球統合軍はフェバットに技術提供を持ちかけようとしたが、竹が反対した。
フェバットの科学力と地球統合軍の科学力には、かなりの開きがあり、下手な技術提供はフェバットの発展バランスに支障をきたし、今後の発展に悪影響を及ぼす危険があると進言したのだ。
この考えをフェバットのレヒト皇帝は、高く評価し地球統合軍の技術提供を慎んで、辞退した。
それでも、フェバットは地球統合軍の補強についていったのだ。
この一件により、完全にレヒト皇帝はフェバットの民の信頼を掴んだのだ。
(カスケード恒星系)
フェバットの護衛艦隊に守られながら、地球とフェバットの宇宙開発チームはカスケード恒星系に散らばった。
勿論、章がいる調査チームもその中にいた。
章「八式カスタムのスタンバイは、完了・・・・・・・・・・・・無人探索機のOSもセットアップ完了しました」
むかしのような作業服を着ながら、章がそう言ってプロジェクトリーダーに歩み寄った。
章のいるプロジェクトチームの母体は、地球統合軍で今やナンバーワンの企業、村場エンターテインメント株式会社であり、事実上地球ナンバーワンの調査チームであった。
会社の名前から察するに、前大戦でも純平のバックアップで活躍した村場先輩の会社であることが、よくわかる。
事実、章が地球に帰還してすぐスカウトを受けたのは、村場によるものであった。
章「あの!隼人リーダー!」
章がそう言って、返事の返さないリーダーの名前を呼んだ。
章は、村場社長が直接スカウトしただけあって、研究チームからの印象はあまりよくなかったのだ。
さらに、高卒という学歴も響いて、周りの科学者からは若干省かれ気味だったのだ。
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