雲より高し

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しばらく廊下を進むといつもの客間に着いた。 「ちょっとお茶いれるから待っててね」 ミカエル様はそう言うと一旦客間から出ていった。私はミカエル様の背中を見送り、ソファーに腰掛けた。 このお屋敷には何度も来たことがあるが、お屋敷全体を把握はしていない。広いせいでもあるが、いつもミカエル様がこの客間にしか案内しないので他の部屋に行ったことがないのが1番の原因だろう。 「お待たせ」 トレーに紅茶とケーキを持ったミカエル様が戻ってきた。ミカエル様はそれをそっとテーブルの上に置く。 「わぁ、ケーキだ」 私の視線はケーキに釘付け。それもそのはず、私は生粋の甘党だ。甘いものには目がない。体内に糖分がないと落ち着かないくらいだ。このさい三度の飯はケーキでいい。 甘いものを目の前にした私はハンターだ。フォークを片手に獲物を睨む。そして一瞬の間をおいて獲物にフォークを突き落とす。獲物をとらえたときのフワッとした柔らかい感触が堪らない。さらに、口にいれたときの柔らかい感触、口の中に広がるほんのり甘い味。やはり堪らない。 「ふふ……まだ子供ね」 ミカエル様が何か言ったようだがそれすら今の私の耳には入らない。私の全神経はこのケーキもとい獲物に集中している。ああ、もう、おいしー! .
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