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どうにか3ヶ月が過ぎようとしていた。この3ヶ月で皆、一様に身体が一回り大きくなった。江本を除いては…江本は、持ち前のぜい肉を減らすため、田辺コーチの徹底マークで絞られ、逆に一回り身体が小さくなった。3ヶ月間、日に日に、重たいバーベルがあがるようになる日々は、思い出しただけで吐きそうだ。その中でも一番の成長をとげたのは、大久保だ。大久保は柳川出身のドヤンキーで、髪の毛と眉毛は、常に五厘刈りだ。こいつはやたらうるさい。トレーニング中も、「うぉらぅぁああ!!」とか巻き舌で叫んでいる。入学時、ガリガリで同級生に「くぅおるぁああ」とか巻き舌で言いながら、ガン飛ばしていた大久保は3ヶ月で、がっつり筋肉がつき、最近は、ピッチピチのシャツを着て「くぅおるぁああ」とか巻き舌で言いながらガン飛ばしている。そんな大久保も、江本も、菅も、他の一年も、オレ自身も根っこは野球少年である。皆、身体も高校生らしくなり、この有り余る力を野球にいかしたくてウズウズしている感じだった。
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