駆け出しヒーロー??

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うちの野球部は、100名近くの部員が所属し、100人が9つのポジションを争ういわゆる野球伝統校だ。そのため、部室も二つに別れており、2、3年が使用する正規の部室。そして、一年が使用する空き教室を利用した特設部室がある。何故一年だけ部室が違うかというと、人数が多いからだ。地元では、野球部の中心人物で、高校でも甲子園を目指し、一旗上げようという新入生は多い。そんなピカピカの一年生を2、3年の先輩方は、『サラ』と呼ぶ。これは、『まっさらな新人』からきているらしい。オレらの代も入学当時は、60人のサラがいた。しかし、夢と現実のギャップに挫折し、多数のサラが去った。入学から一ヶ月後には半分になっていた。そして一ヶ月間、厳格な縦社会ときつい練習に耐えた新入部員のみ、先輩方から『一年』と呼ばれ、野球部員として認められる。ただ、部員として認めてもらえたからといって待遇が変わるわけではなく、肩書きが『奴隷見習い』から『奴隷』になるくらいのもので、60人でやっていた雑用を30人でこなさなければならず、次世代の野球部を背負う正規の野球部員になったことで先輩方の指導は更に厳しくなった。
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