駆け出しヒーロー??

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高校球児の一日は朝早くから始まる。もっぱら電車は始発だ。半分眠ったまま電車に乗り、高校の最寄り駅に着くとそこから、自転車で30分かけて高校へ向う。電車をこぎ始め15分くらい経つとオレの後ろから、「高村おはよぉ」という声がする。振り返ると、オレと同じく野球の特待生として入学した菅が自転車で追いかけてきた。菅は、中学の頃から筑後ドリーマーズで一緒にプレイしていたオレの親友だ。身体は小さいが守備が上手く、バッティングでも小技ができる選手である。「おう、おはよう」とオレが返すと菅は「最近、オレ明日に希望が持てんっちゃけど」と言った。全く同感だ。「わかる!!オレとか一日200回くらい野球部やめてぇと思うわ」などと雑談をしながら高校へ着くと、まず朝の雑用が待っている。部室の掃除、監督室の掃除、シャワー室の掃除、グランド整備、先輩方の道具磨き、朝練用の道具出しを一年30人で手分けして20分でやる。そしてそれが終わり次第、急いで着替えて朝練に来る先輩方を出迎え、挨拶をする。それからようやく朝練が始まると一年は、ボールすら使えない。最初の3ヶ月は身体作りが主で、筋トレ、走り込みの繰り返しである。朝練での一年のメニューは10km走だ。
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