5710人が本棚に入れています
本棚に追加
海斗の優しさが身に染みる。
急に、緊張の糸が途切れるような気がした。
その瞬間、視界がぐるっと回り出す。
「遊里!?遊里!!おい…ゆ…」
私の名を何度も呼ぶ海斗の声を最後に、意識がぷつりと切れた。
「ん…」
眩し…。
目を閉じていても分かる程の太陽の光り。
思わず枕に顔をうずめ、また眠りにつこうとする。
………………ん?
太陽の光り…?
ガバッ!!!!!
太陽の光りって…朝!?
勢いよく身を起こすと、窓の外はすっかり明るかった。
「大変…海斗のお見送りと子供達の支度を……」
「生憎今日は土曜日だ。」
「ああ!!そうだ土曜日……!?」
ホッとしたのも束の間。
声のする方を振り返ると、ワイシャツにネクタイ姿の海斗が立っている。
「か…海斗!ごめんなさい…今すぐ着替えるから…」
慌ててベッドを降りようとするのを海斗に止められた。
「覚えてないのか?昨日倒れたんだ。まだ寝てろ。支度くらい一人でも出来る。」
倒れ…。
そうだ!!
急にめまいがして…。
最初のコメントを投稿しよう!