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俯くと、ベッドの下に膝をつき私を見上げる海斗と視線がぶつかる。
その眉は心配そうに寄せられていた。
「海斗…じゃあ海斗がベッドまで運んでくれたの?パジャマまで…」
着替えた記憶などないのにしっかりと着せられたパジャマ。
パジャマの裾を握り締めると海斗が私の頭を撫でた。
「どうしたんだ?何かあったのか?…子供達の事で心配事でも…」
「ううん。違うの。…昨日…」
そこまで言いかけて口を紡ぐ。
…海斗に言うの…?
海斗はこれから仕事に行くのよ?
昨日だって海斗の方が疲れた顔をしてたのに私をベッドに運んだりしてくれて…。
今だってこんなに心配そうに…。
そもそも顧客情報を盗まれた事、海斗は知っているんだろうか。
いや知っていたらきっと警察に相談してるはず。
これ以上、海斗の心配事を増やすなんて私には出来ない。
「昨日、なんだ?」
「……昨日…拓海君たちと一緒に庭の手入れをしたりしたから…疲れたのかな?ごめんね心配かけて。ありがとう…。」
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