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まだじんじんとする首筋には恐らく真っ赤なキスマーク。
海斗の満足げな顔がおかしくて、吹き出してしまった。
「もうっ海斗ったら!」
クスクス笑い出した私に優しく微笑み、海斗がベッドから下りる。
「はぁあ…じゃあ行ってくる。…帰りは出迎えよろしくな。」
「はい!行ってらっしゃい。」
満面の笑みで言うと、安心したように海斗は家を出た。
ギシ…
ベッドから下り、鏡台の前に座る。
赤く赤く染まった、海斗のキスの跡。
最後に深いため息をついた海斗の顔が思い出される。
年末のこの時期。
海斗は大変なのだ。
社長という立場。
社員をたくさん抱え、責任が全て海斗の肩にのしかかっている。
…話すかどうかは、行ってから決めよう。
もしかしたら話し合いでなんとかなる話しかもしれない。
打開策が見つかるかもしれない。
どうしようもない状況だったら今夜海斗に話せば良いのだ。
でも…私に出来る事があるなら全てやろう。
少しでも海斗の役に立ちたい。
海斗の負担を減らしたい。
そっとキスマークを指でなぞる。
…愛してるから。
私は今日、あのホテルに行く。
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