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待って。
でもそもそも何故彼がこの事を知っているのだろう。
カマをかけられているのかもしれない。
ゴクッと唾を飲んでも乾いた喉は潤わなかった。
「…馴れ初め?なんの事でしょうか。」
カマをかけられている可能性を考え、笑いながら返答する。
『…お父さまの借金のカタにあなたが結城社長の性欲処理の道具になった。カマをかけたわけではありませんよ?残念ながら。』
やけに楽しそうな声に嫌悪感が増した。
何故…何故そこまで詳しく…。
「違います!私達は愛し合ってるんです!そんなのデマカセだわ!!」
動揺とショックでつい声が荒くなる。
興奮して言い返してしまった事が、肯定したも同然の事だと気づいたのは…桐山雅人が喉の奥で笑ったような声を出してからだった。
『デマカセ…ねぇ?』
「あなた…何が目的なんです?一体どうしたいんですか!?」
叫んでから視界が歪む。
こらえきれない涙が溢れてきた。
『…明日11時、〇〇ホテルの1002号室。来なければすぐに顧客情報などをマスコミに流します。では明日。』
「ちょ…待っ!!!」
プッ…ツーッツーッツーッ…
早口で告げられた後、電子音だけが聴覚を支配する。
ぼんやりと眺めていたクリスマスツリーはが、ぼやけて歪んだ。
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