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それに…出会いに関わっていた私の家族や、それを知らずにいた海斗の両親までもを傷つける結果にもなるだろう。
なのに桐山雅人は、さも楽しそうに事実をマスコミに流すと言った。
…彼は本当に人間なのだろうか。
あんな残酷な話しをしながら…彼はずっと笑っていたのだ。
明日、私は行くべきなの?
ホテルの一室で話すなんて危険極まりない。
何かの罠かもしれない。
だけど、行かなければ…全てが狂ってしまう。
海斗が必死に盛り上げて大きくした会社も、社会的地位も…家族も。
ガチャ!
静かなリビングに急に響き渡った音に、体が跳ねた。
ドアが開き、長い足がリビングの中に入ってくる。
「海斗!お帰りなさい。…ごめんね気づかなくてお出迎え出来なかった…」
今まで強張っていた顔で無理に笑顔をつくった。
海斗は私を見るや否や足早に近づいてくる。
長い腕が伸ばされ、大きな手のひらが私の頬を包んだ。
「ただいま。顔色が悪いな…。無理して起きてなくて良かったんだ。疲れてるんじゃないのか?」
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