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そのメモ帳の意味はだいたいわかっている。
「はぁ…買い物?」
一度溜め息をついてから聞く。
自転車を直す事に体力を使ったため若干疲れているのであまり行きたくない…
「流石兄さん!よくわかってるね。買い物、頼まれてくれる?」
腰を曲げながら嬉しそうに表情を和らげる妹の願いを叶えてやらない兄がどこにいよう?
ここにはいない。
「わかったよ」
ポンッと瑠璃の頭の上に手を置くと、顔を真っ赤にさせながら下を向き、「うにゅぅ~」と小動物のような声をあげた。
俺は頭から手を離す。
「じゃあ買い物行ってくる」
「ありがとう、兄さん!」
瑠璃は親指を上げて「頑張れ!」と言うと、お金を俺に渡してきた。
俺は脱ごうとしていた靴をもう一度履くと、自転車の鍵を持って外に出た。買い物に行く場所は少し離れた所にある小さなデパートだ。
自転車で20分くらいの場所にあるため疲れることこの上ない。
あぁ、めんどくせー。
早く部屋に戻って寝たい。
なんで俺は買い物行くとか言っちまったんだろうな?
そんな事を考えながら自転車をこぐ。
もう日は沈みかけていて、道は夕日でオレンジ色になっていた。
「綺麗だな」
純粋に思った事を口に出しながら上を向いて雲を眺めてみた。
んっ?
なんか丸い球体が見えるんだけど。
だんだん近づいてね?
野球ボールみたいだな。
「…って、えぇーーーーー!?」
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