第一章

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気がついた時にはすでに遅く、頭にボールがヒットした。 その衝撃で自転車から俺は落ちた。 「いってー……」 俺はその場で立ち上がる。 足から少し血が出ていたがたいしたことはなかった。 不幸中の幸いってのかな? すると後ろから一人の小学生くらいの男の子が走ってきた。 「ごめんなさい!!」 俺の前で深々と頭を下げる。 小さいながらも、しっかりとした態度のため少し感心した。 「いいよ。気にするな」 俺はその子の頭の上にポンッと手を乗せて撫でてやった。 つぅかさ、どうやったらこんなガキの飛ばしたボールがあんな上から飛んでくるんだ? 謎だ………。 「ありがとうございます! あっ…ボール……」 男の子は謝るとボールを探し出した。俺に当たった時に何処かに行ってしまったんだろうな。 だからボールどんだけ飛んでたんだよ!? 「ボール~……」 男の子は必死でボールを探していた。 男の子の目は涙が貯まってウルウルとしていた。 「大事な物なのか?」 俺は考える事もなく無意識にそう聞いていた。 多分、それは男の子が小さい子だかからだろうな。 男の子は首を一度だけ縦に振る。 俺は倒れている自転車を道路の隅に立たせると、また男の子に近寄った。 「お兄ちゃんも探してやるよ」 俺がそう言うと男の子は驚きながらこっちを見た。 移動した時に帰ったとか思ったんだろうな。 「一人よりも二人の方が見つかるのは早いからな」 そう言うと男の子は嬉しそうな顔をしながら「ありがとう!」と言った。 てか大事な物なら使うなよ。
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