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気がついた時にはすでに遅く、頭にボールがヒットした。
その衝撃で自転車から俺は落ちた。
「いってー……」
俺はその場で立ち上がる。
足から少し血が出ていたがたいしたことはなかった。
不幸中の幸いってのかな?
すると後ろから一人の小学生くらいの男の子が走ってきた。
「ごめんなさい!!」
俺の前で深々と頭を下げる。
小さいながらも、しっかりとした態度のため少し感心した。
「いいよ。気にするな」
俺はその子の頭の上にポンッと手を乗せて撫でてやった。
つぅかさ、どうやったらこんなガキの飛ばしたボールがあんな上から飛んでくるんだ?
謎だ………。
「ありがとうございます!
あっ…ボール……」
男の子は謝るとボールを探し出した。俺に当たった時に何処かに行ってしまったんだろうな。
だからボールどんだけ飛んでたんだよ!?
「ボール~……」
男の子は必死でボールを探していた。
男の子の目は涙が貯まってウルウルとしていた。
「大事な物なのか?」
俺は考える事もなく無意識にそう聞いていた。
多分、それは男の子が小さい子だかからだろうな。
男の子は首を一度だけ縦に振る。
俺は倒れている自転車を道路の隅に立たせると、また男の子に近寄った。
「お兄ちゃんも探してやるよ」
俺がそう言うと男の子は驚きながらこっちを見た。
移動した時に帰ったとか思ったんだろうな。
「一人よりも二人の方が見つかるのは早いからな」
そう言うと男の子は嬉しそうな顔をしながら「ありがとう!」と言った。
てか大事な物なら使うなよ。
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