第一章

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キーンコーンという学校独特のチャイムの音が鳴り、今日一日の怠い授業の終わりを迎えた。 俺、羽田 優は鞄の中に荷物をまとめると、3ーBと書いてある教室を出た。 俺は学校が嫌いだ。 いや…正確には高校が嫌いなんだ。 中学まではただ仲の良い友達とだべり、遊んでいるだけだったから。 だけど高校は違う…。 高校に入ると将来の事を周りの奴が真剣に考え出す。 俺の友達の何人かは、将来自分のなりたい仕事に就くために専門的な学校に通いだした。 だから…夢のない俺は、置いていかれた気持ちがして心が痛む。 夢……。 俺はある人から話しを聞いて以来、昔から空を夢に例えていた。 夢を叶えるために頑張っている奴らはまるで、あの大空へ飛び立とうと、翼を目一杯羽ばたかせているように感じるのだ。 それを考えると、最終的に必ず一つの事を考えてしまう。 じゃあ夢のない俺には大空に飛び立つための羽はあるのか?と…。 周りがどんどん夢に近付いていくにつれて、俺は周りからどんどん離されているような気がする。 皆には向かうべき場所の空がある。 じゃあ翼のない俺は何処に向かえばいいのだろうか?
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