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胡珀は立ち上がり村の方へ走り出す。
時々胡珀は桐弧の心配をして振り返ったりもしていたが、走ることはやめなかった。
桐弧は逆手で短刀を持ち、片膝を着いて倒れている人間を凝視する。
(見た目は酷い怪我をしているけど……これで演技だったら相当な者ね)
人間の怪我は階段から落ちたような怪我にしては酷く、出血の量も多い。
だからといって油断するわけにもいかない。
桐弧は目の前の人間から意識を離せないほど睨み付けている。
何分経ったのかもわからない状態でも短刀を手放すことはないだろう。
「桐弧!!」
突然後ろから呼ばれて桐弧はびっくりして震え上がる。
「お、お父さん!?」
桐弧の後ろには桐弧の父、源狼(げんろう)の他に村の男達と長老が来ていた。
そのもう少し後ろの方には胡珀と観那がいた。
「ここから離れて母さんの所へ……」
「うん……」
源狼は桐弧の肩に手を置いて耳元で呟いた。
村の男達は人間を囲み、竹槍で突っついている。
長老と源狼は何か話し合っている。
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