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「長老、こいつ死にかけですぜ」
「どうします? 始末するなら……」
「いや、始末はせん」
囲んでいた村の男達の問いに返答する長老。
だが、始末しないということは人間を助ける事になる。
「長老、いくらなんでも危険ですぞ?」
「表の人間が何をするかわかったものではないですし」
「だからといって、人を殺していい事もないだろう」
源狼は長老といっしょの考えであるみたいだ。
「旦那まで……」
「いくら種族が違えど、人は人だろう? それに、そいつはまだ俺らに危害を加えていないんだし」
「しかし……」
「村の者……その者を儂の家に運んでくれ」
「長老!?」
「かまわん……例え儂が殺されても跡を継ぐ者はいる……」
そういって、長老は源狼のことをちらっと見つめる。
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