第一話

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「長老、こいつ死にかけですぜ」 「どうします? 始末するなら……」 「いや、始末はせん」  囲んでいた村の男達の問いに返答する長老。  だが、始末しないということは人間を助ける事になる。 「長老、いくらなんでも危険ですぞ?」 「表の人間が何をするかわかったものではないですし」 「だからといって、人を殺していい事もないだろう」  源狼は長老といっしょの考えであるみたいだ。 「旦那まで……」 「いくら種族が違えど、人は人だろう? それに、そいつはまだ俺らに危害を加えていないんだし」 「しかし……」 「村の者……その者を儂の家に運んでくれ」 「長老!?」 「かまわん……例え儂が殺されても跡を継ぐ者はいる……」  そういって、長老は源狼のことをちらっと見つめる。
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