プロローグ

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(くそ……こんな日についてない……)  何も出来ない状態になっている男は連中を憎むことしかできない。  無力な自分に対して苛立ちを覚え始める。  だが、体力の限界なのか少しずつ意識が遠のき始める。 「おい? 全然動かなくなってきたぞ」 「ちぇ……面白くないな」 「どうするよ?」 「もう飽きたから帰るか」  そう言ってリーダーらしき人物が去っていく。  集団の中から一人出てきて縛っていたロープを切り、ツバを吐き捨てていく。  男は屍のように動かないのを確認してから他の連中を追いかけるように走っていく。 (ちっくしょう……)  悔しさを心の底に貯めながら壁を使って最後の力を振り絞り立ち上がるが、両足はガクガクに震えている。  視界がぼやけてほとんど見えない状態のまま、足を引きずり歩いていく。  壁には生々しく血の手形が残っている。 (くそっ……頭がクラクラしてきやがった……)  血の流し過ぎ、男は立ちくらみを起こし始める。  そしてそのままゴミの山へと力尽き倒れる。  そのまま彼は意識を失っていく……。  しかし、ゴミの匂いと堅さとは違う草原の香りと柔らかさを肌に感じながら……。
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