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所々に小さな白い雲が漂う青空が広がる中。
山は蒼く生い茂り、小川の近くに立てば、せせらぎが心を綺麗に洗い流してくれるような、柔らかい音が聞こえる。
ここは表……本来の人が住む世界とは違う、裏の世界にある一つの小さな村。
そこは便利な携帯電話、電車、飛行機などが全くなく、むしろ電気も無い時代。
例えて言うなら、昔の農民の暮らしに近いものである。
牛を引いて畑を耕し、川辺で洗濯をする人、家の縁側で紐を編む人………。
表の世界で言えば、それこそ戦国時代で言う山奥にある村のような暮らしをしている。
その村から少し離れた小さな丘に一人の少女が寝っ転がっていた。
しかし、その少女は普通の人と違い耳と尻尾が付いている。
妖弧……表の世界ではそう呼ばれる存在の人種。
だが、言い伝えのように化けたり、妖術が使えるわけではない。
生まれつき耳と尻尾が付いているだけの人間と変わりのない存在であった。
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