第一話

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 項垂れながら歩く胡珀を見つつ、その辛さを感じながら苦笑する。  裏山にはちょっとした獣などがいるが、木の実などが豊富でよく取りに来ることもある。  いつもは荒騎が薪拾いをしているが、いないときは桐弧がする。  山の麓に着くと二手に分かれて薪になる木を拾う。  木の実を拾って食べながら桐弧は黙々と拾っていく。 「ん~♪ この時期は甘い木の実が多いから大好き♪」  見つけては食べて、を繰り返しながらも背中に担いだ籠に半分ほど拾い集める。 「きゃーーーーーーー!!」  突然叫び声が聞こえて桐弧は動きを止める。 「この声……胡珀!?」  親友の声とわかると、我先にと言わんばかりの速さで林の中を疾走する。  林を抜けると右手前方にしゃがんでいる胡珀を見つける。  桐弧は胸にしまってある短刀に手を当てながら近づく。 「胡珀、大丈夫!?」 「あ…あれ……」
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