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奏衣が初めての彼氏と付き合った時、浮かれて浮かれて、ちょっと娘を溺愛していた母親からの彼氏への冷たい態度や視線に戸惑い、次に彼氏ができた時には、母親に恋に溺れていない様に、むしろ素っ気なくてちょっとは、彼氏を大切にしなさいよ。と言われる様にと気をつけていたら…いつの間にかこんな風に可愛くない彼女に成り上り、そして、今更デレデレする自分が気持ち悪くてこのままのスタイルが完成された。
そんな私にも大樹は、優しくてたまにみせる甘える仕草すら可愛いと甘やかす。
すると、ドンドン増長するバカな女の出来上がりだった。
どんな我がままを言っても大樹は受け止めてくれた。
そして、理解してくれた。
そんな優しさに甘えて、本当に大切なものを見失った私は大樹に別れを告げた。
その時の私は、学校、友達に夢中で毎週の様に会いたい。って言ってくれていた大樹をウザイと思ってしまった。
〔大樹のこと好きかどうか、わからなくなった…〕
そんな酷い言葉を…
しかも、友達に相談するはずのメールを間違って大樹に送った。
すぐに電話がなって初めて大樹が怒ってる声を聞いた。
「どーゆうことだよ?好きかどうか。って何!?」
『ごめん。間違って送っちゃったけど、本当に今はわかんない。だから、別れた方がいいかな。って思ってた。』
「なんだよ!なんだよ。それ。わかった。じゃあ別れよ。さよなら。」
なんとも呆気ない最後だった。
でも、私の心はスッキリするわけでもなく。ただただ、雪の降る道路で1人泣いた。
優しかった大樹。笑った大樹。私の我がままを笑って許して抱きしめてくれた大樹。
その時、やっと当たり前だった存在は、当たり前じゃなかった。そして、別れよって言われて実は、大樹の事が大好きだった事に気がついた私は大馬鹿だ。
ごめん。大樹。もっと優しくすればよかった。可愛い彼女でいれば良かった。大樹、ダイスキ…。
でも、今更気がついたって私のこの想いは大樹にはもう、届かないし、届けてはいけない。
大樹には、私なんかよりもっと良い人がいるはず。そう気がついてしまった。
空っぽになった私はボーッとベットの上に座っていると鳴るはずのない着メロが鳴る。
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