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大樹……
怖い。大樹の電話がこんなに怖いとは思わなかった。
また、あの冷たい声で何か言われるのかな。
そう思ったら電話に出られなかった。
着信が切れてホッとしていたら、次はメールの受信を知らせる音。
ドキドキしながら、メールボックスを開くと 友達 のボックス。
大学の友達の麻美だった。
【かな、大丈夫?】
その一文。
麻美には、別れたこと、すぐに後悔したことを全部打ち明けた。
だから、心配してメールをくれたのだ。
〔大丈夫!大丈夫!今更、気がつくなんて馬鹿だよね~。でもさ、好きと同時に大樹には、もっと素直で大樹を想ってくれる人じゃないとダメだってわかっちゃった。私、多分今は分かってもまた大樹の優しさに甘えちゃう…冷たくしちゃう気がする…〕
そんなメールを送ったと同時にまた着信。
あ………取っちゃった。
画面は通話中。
誰だろ…。
麻美??
『もしもし?』
「かな。俺…。」
心臓がドクンと跳ね上がる。
『大樹…。』
「…かな。ごめん。俺、あの時…正直ムカついて。俺、かなのこと大事に大事にしてきたのに好きかわかんないって言われて。思わず別れるって言っちゃって」
『ううん。怒って当たり前だよ。ごめん。大樹。』
「あんなこと言ったけど…俺、かなが好きだよ。かな。戻れないかな?」
『え………ごめん。私も好きだって気がついたよ。でも、それと同時に私といたらまた、大樹は私に振り回されて、傷ついて。もっと私よりいい人がいるってわかっちゃったの。だから、ごめん。私が大人になれてないのに、戻らない方がいい。このまま別れよう。』
「わかったよ。でも、かな。よく考えて。
1週間後、返事待ってる」
『大樹…わかった。ごめんね。じゃあね。おやすみ』
素直に戻るって言えば良かったのかな。
でも…でも…本当にそれでいーのかな。
一週間。一週間よく考えよう…。
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