私と大樹

9/16
前へ
/37ページ
次へ
えぇーーーー!!? 何それ。いや。尚美は悪くないし、私も尚美のお母さんが大樹の家で髪の毛カットしてもらうの知ってたしね。 でも、マジかー。いや。まぁ…大事な晴れ姿。大樹の家あたりからこっちまでもそれなりに距離あるし、崩れちゃったら。って思うよねー。 別れたあとに大樹のお母さんと妹に会うって緊張する。 もう、そこからは着付けが苦しいのか緊張して気持ち悪いのかわからないまま終わり写真館にむかった。 この時、ちょっと救われたのは大樹の事を凄ーく可愛がってた私の母親は仕事で付き添えなかったから送り迎えを父親がしてくれたこと。 母親は、律儀に約束を守っている大樹をいたく気に入っていたし、別れたなんて知った時は私より落ち込んでんじゃないの?ってぐらい寂しそうだったから、大樹のお母さんと妹がいる写真館に行くのが何も知らない父親でホッとしていた。 到着すると、申し訳なさそうに尚美が近づいてきた。 「カナ。ごめんね。大丈夫?」 『ビックリはしたけど、大丈夫だよ!尚美、可愛いよ!』 そういって笑ったはずだけど、やっぱり引きつってたのか尚美もひきつった笑いをして2人でそんな状況にクスリと笑ってしまった。 いざ、写すってなった時ちょっと緊張したのと、知り合いの写真館だからって我がもの顔で我が家のデジカメでパシャパシャと写真を写す自分の父親にちょっと引きつった笑いをしていたら、大樹のお母さんがやってきた。 「折角の美人なんだから、笑って!」 そう言って私の前髪を綺麗になおしてくれた。 彼のお母さんの優しい心遣いで、今でも家に飾られている成人式の写真に写っている私は、ちゃんと笑えている。 大樹のお母さんと妹にあって、大樹に会いたくて会いたくてたまらなくなった。 無性にギュッと抱きしめて欲しくなった。 勇気を振り絞って『元気?』って送った大樹へのメールはエラーメールでスグに私に返信された。 そっか。そうだよね。 当たり前だよね。 わかっているけど…無性に涙が出てきた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加