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朝食を食べ終え、大急ぎで家を出発、走ったかいもあって、なんとか朝の電車に間に合った。
ちょうどホームに電車が滑り込んできたところだった
ドアの端に寄りかかり、九郎は今朝の夢のことを考えていた。
ボーっと窓の外の空を眺める。
(こっちの世界とは何かが違う)
どうしてもあの夢と現実を比べてしまう自分がいる。
(……っていやいや、あれは夢なんだって。現実と比べちゃいけないって!でも……妙にリアリティのある夢だよな)
設定だけ考えれば、どこがリアリティなんだよと、自分で自分をツッコミたくなるなる内容だ。
小柄な剣士が変わった剣法で、大男を斬り伏せる話なんて、マンガにしたって陳腐にも程がある
(買うかな?やっぱりイラスト次第だけど……って、そうじゃなくて)
リアルなのは、手触りだ。あるいは香りであり、そして自分がここにいるという認識だ。
あの夢を見ている間、感じるすべてのことが、真にせまっている。
だから、あれもまた現実なのではないかと、思えてくるのだ。
こことは違う、もう一つの現実。
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