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(やっぱり疲れてるのかな?)
自分を突き放して、客観的に見ようとしても、思考はあの夢から離れない。
もう目が覚めて、意識もはっきりしているのに、まだまだ記憶から消えてくれない。
それも、この〈夢〉が他の夢と違うところだった。
普通なら、夢の記憶は急速に薄れてゆくものだ。
けれど、この〈夢〉は違っていた。
見はじめた三週間前からの夢も、ゆうべのも、いくら時間が経とうとも一向に印象が薄れない。
それどころか、もっと濃くなってくるのだ。
慣れ親しんだ電車の揺れに、身を任せていると眠気が襲ってきた。
(あ~…寝ちゃダメだって…乗り過ごしちゃう…)
人間、眠ってはいけないと思えば思うほど、睡魔には勝てないものだ。
そのまま、九郎は眠りに落ちていった――――
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