不思議な夢

10/10
前へ
/184ページ
次へ
(やっぱり疲れてるのかな?) 自分を突き放して、客観的に見ようとしても、思考はあの夢から離れない。 もう目が覚めて、意識もはっきりしているのに、まだまだ記憶から消えてくれない。 それも、この〈夢〉が他の夢と違うところだった。 普通なら、夢の記憶は急速に薄れてゆくものだ。 けれど、この〈夢〉は違っていた。 見はじめた三週間前からの夢も、ゆうべのも、いくら時間が経とうとも一向に印象が薄れない。 それどころか、もっと濃くなってくるのだ。 慣れ親しんだ電車の揺れに、身を任せていると眠気が襲ってきた。 (あ~…寝ちゃダメだって…乗り過ごしちゃう…) 人間、眠ってはいけないと思えば思うほど、睡魔には勝てないものだ。 そのまま、九郎は眠りに落ちていった――――
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加