恋人

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確かに、玖郎の仕事は危険極まりない。 《暗殺》という性質上、基本的に隠密行動だ。 それ故、単独行動の方が動きやすい。 だが、必ずしも相手が一人でいるとは限らない。 一度に、複数を相手にすることは日常茶飯事だ。 九郎の見た夢の中にも、指定場所に行ってみれば、十数人の男たちが待ち構えていたこともあった。 だが、玖郎はそれをすべてくぐり抜けてきた。 「大丈夫だ、雪……俺は必ず生きて、お前の元に帰ってくる。約束だ。だから心配するな?」 彼女の涙を指で拭い、優しく言い聞かせる。 「玖郎様……」 雪は安心した、けれども少し憂いを帯びた笑みを浮かべ、玖郎の胸に再び顔をうずめた。 しばらくの沈黙の後、雪はハッと顔を上げ、慌てたように 「あっ…も、申し訳ありません!今、お茶を煎れますので、どうぞお上がりください」 顔を真っ赤にしながら、パッと離れる雪を笑顔で見つめる玖郎。 雪は鍛冶屋の裏手にある母屋の方に玖郎を招き入れる 「あぁ、お邪魔させてもらうよ」 そう言うと、雪について母屋に足を向ける。 「そう言えば、刀を打っているんだな?」 不意に雪に話しかける玖郎。 「えっ……?」 「めずらしいじゃないか?お前が誰かに刀を打つなど」
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