51人が本棚に入れています
本棚に追加
雪は誰彼かまわず、刀を打ったりはしない。
刀を我が子のように扱う雪は、その人物が信頼に値するかどうかを、見定めてから刀の製作に取りかかる。
雪の打つ刀は、丈夫でよく斬れると、評判がいいため連日、製作依頼が舞い込む
だがやはりこのご時世。
刀を殺人のための凶器にし、罪もない人を殺す輩が増え続けているため、雪はおいそれと打とうとはしない。
中には金さえ積めば、どんな人物にも刀を打つ鍛冶師もいる。
というよりもそれが普通なのだが。
雪が頑固すぎるのである。
そのため普段は、包丁やハサミ、鍋などの生活雑貨を売って生活している。
「え、えぇ……信用できる方がいらっしゃいましたので……」
「雪を口説き落とすとは大したものだ。俺も是非、会ってみたいものだな。」
「それは難しいかと思いますわ」
「そうなのか?」
「はい、お忙しい方でいらっしゃいますので……」
「そうか、それは残念だ……」
というような事を話しながら二人は、母屋に入っていった――――――。
最初のコメントを投稿しよう!