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「どうした?暗い顔して?」
「そ、そうか?別に普通だろ……?」
考えていることが顔に出ていたのか、優は開口一番、そんなことを聞いてきた。
「ははぁ~ん……。さては例の幼なじみと喧嘩でもしたんだな?」
「ばっ!バカ!!そんなんじゃないよ!!」
例の幼なじみ
それは九郎の、幼稚園からの幼なじみで、今は遠い北海道に住んでいる、岡崎 由紀子(おかざき ゆきこ)のことだ。
幼稚園からの幼馴染みであり、家が近かったこともあって、よく一緒に遊んでいた。
中学二年生まで一緒の学校に通っていたが、三年生に上がるときに親の仕事の都合で、北海道へと引っ越してしまった。
ここ一年近く、とんと会っていないが、今でも頻繁にメールのやり取りを続けており、月に一回、電話で互いの近況を報告し合ったりしている。
「ゆきちゃんとは今でも連絡はしてるよ……。昨日もメールしたし」
「ふぅ~ん、じゃあ何で暗いのさ?」
「別に暗くないって!ちょっと考え事してただけ」
「そっか、まぁいいや。それよりさ、今日ゲーセン行かね?」
「またウルドラ?」
「おぅよ!!もうちょいで階級が上がるんだよ!」
と、白い歯を見せてニカッと笑い、嬉しそうに優が答える。
『ウルドラ』とは、正式名称『ウルティマ・ドライアス』の略称で、駅前のゲームセンターに設置してある体験型のアクションゲームだ。
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