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「九郎!」
愛子の去った、玄関をボーっと眺めていると、母の久美子に声をかけられた。
「んあ?」
「なにそんなとこでボーっと突っ立てんの?片付かないから早くご飯食べちゃいなさい?」
「はーい……」
母、久美子は主婦。
昼間はコンビニのパートに出ている。
「母さんは今日も帰りは五時くらい?」
九郎は母の作った、朝食に舌鼓を打ちながら、母に聞いた。
「うん、そのくらいかな?まぁ、学校から帰ってきてお腹が空いたら適当になんか食べといて。あ、でも食べ過ぎちゃダメよ?」
「うん。あれ?父さんは?」
「あぁ、なんか早朝会議があるとかなんかで早くに出て行ったわよ?」
九郎の父、雄一郎は中小企業の営業課長だ
「ふ~ん……父さんも大変だねぇ~」
「そうよ~感謝しなさい?父さんが頑張っているからこそあんたたちは食べていけるんだからね!」
「わかってるって」
「ところであんた、そんなゆっくりしていていいの?」
時計はもう七時四十五分を指していた。
「やっべ!」
本日二度目の、「やっべ!」を叫びつつ、九郎は朝食を猛烈な勢いで片づけ始めた。
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