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しばらくの沈黙の後、弘一は口を開く。
「それで、今回は我ら上之宮財閥に何を望むのだね? 鳳(おおとり)君」
鳳と呼ばれた女性は、静かに語り始めた。
「恥ずかしながら、我々が一月ほど活動できる物資をお願いしたく参りました」
「一月? 一体何が始まると言うのだ?」
弘一は改めて鳳 彩子の方を振り向く。
「はい、今の日本は自分の国に勃発したテロリストの排除に精一杯で、もし『ヴァルハラ』が迫ってきたらひとたまりもありません。
特に、『BMMW』を用いられた場合、今の日本にはそれにあがなう術もないかと思います」
「……つまり、君達がその迎撃を行うわけか?」
彩子は一呼吸置いた後、こう返す。
「はい。勝てるかどうかは解りませんが、精一杯のことはやってみたいと思います」
弘一はため息をつき、こう語り始める。
「やれやれ、たった一体でロサンゼルスを壊滅させたあの化け物相手に『勝てるかどうかわからない』とは、たいした自信だな。
確かに私も、君達の理念に賛同した上で最大限の協力をしている。だが、我々とて遊びで資金や物資を提供しているわけではない」
「それは重々承知の上――」
彩子がこう言い終わらないうちに、部屋の入り口が勢い良く開いた!
そこには一人の執事らしき男が息を切らせていた。
「一体何事かね?」
弘一の口から発せられたその問いの答えは、彼にとって衝撃的な事だった。
「銚子市中心部でテロが発生しました!!
そして……玲菜様の通う学校が占拠されたようですッッッ!!!」
「「何だって?」」
弘一と彩子、二人の口から同時に驚きの声が発せられた。
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