壊された『普通』

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 銃を持った男が愛流の隠れている路地裏まで迫り来る!  愛流は鞄を構え、間合いを測る。  そして、路地裏まで一歩まで近づいた瞬間!! 「そう、ダメモトっ!」  愛流が動いた!  瞬時に銃を持った男の鼻めがけて鞄を叩きつける!  そこまではイメージ通りだ!!  だが!?  愛流の背後で重苦しい音が響く!  もう一人の男が銃を構えた音だと気付くまで、そう時間はかからなかった! ―― しまった!?  男が引き金を引こうとする、そして愛流が覚悟を決めた瞬間である! 「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」  背後で響いたのは銃声でなく、雄叫び、そして何者かが人の顔面を蹴った様な鈍い音であった!  振り向いた愛流が見たもの……それは、一人の若い男が銃を持った男を蹴り倒し、着地した光景であった!  男は首に白いマフラーをなびかせ、着地しながら愛流を見つめていた。 (今度は何? なんか、お約束の展開のような、それでいてカッコいいような、ダサいような……)  男は立ち上がり、続けざまに愛流に向かって跳ねる!  思わず彼女はしゃがみこんでそれを避ける!  男は愛流を飛び越え、彼女を後から襲いかかろうとした男の顔面に飛び膝蹴りを食らわす!  そして、着地ざまに彼女にこう聞いた。 「大丈夫かっ!?」 「いや、あの……てか、あなた誰?」  突如現れたマフラー男に、愛流はただ途惑うしかなかった。  
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