プロローグ

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「さ、早く行こう…」 今の俺の中で、二人きりのおいしい状況より恐怖の方が勝っていた。 肝試しでどうにかなろうという計画はなしだ。 この後の飲み会で勝負を決めよう。 そうと決まれば、この肝試しを早く終わらせる事に越したことはない。 玲奈からしてみても早く終わってほしいと思ってるはずだ。 「怖いと思ってると怖くなるから、違う話をしながら行こう」 「違う話…。じゃあなんでもいいから話して」 そんな俺たちの前に小さな木造の橋が見えた。 下には僅かに湧き水が流れている。 「そういえば水回りは幽霊が集まりやすいらしいよ」 「……」 玲奈は涙目で俺を見る。 「ごめん…。今する話じゃないね…」 「お化けネタじゃなくて…もっと明るい話が聞きたい」 「……そうだなぁ…。じゃあ、玲奈は…好きな人とか…いる?」 恐怖のせいで変なことを聞き出す俺。
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