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「父上はラクトの度胸を試したんじゃよ」
「度胸?」
ロアの言葉が理解出来ず首を傾げると、ロアは微笑んだ。
「父上の……魔王の本気の魔力を当てられて尚、食ってかかるなんて、そうそう出来るものじゃないぞ。
その上ラクトは自ら魔力をぶつけ返した。それも父上に負けないような魔力で」
「つまり……?」
「自分より強大な敵に出会った時、逃げるのも一つの手だが、我も父上も逃げることは嫌いなんじゃ。
要するに、我と父上の好みの性格をしておる。だから合格じゃ」
そう言われ、ラクトはポカンとした表情を浮かべる。
自分に協力してくれる理由が、自分達の好みの性格をしているから。
それだけだと拍子抜けするのも訳はない。
それでも協力をしてくれる。
「マジで?」
ラクトは半信半疑になりながら、魔王に訊ねる。
「ああ、力を貸そう」
「っ、ありがとう!」
ラクトは顔を輝かせながら、勢いよく椅子から立ち上がって頭を下げる。
(まあ、英雄シン=クロナミアの力と名を継いでいるから、個人的に興味があるのも一つだがな)
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