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膨大な魔力同士がぶつかり合い、テーブルがミシミシと音を立てる。
二人の強力な魔力に耐えきれないのだろう。
そんな中、ロアは食事を止めて顔を上げる。
そして言った。
「これがラクトじゃ」
そう言った瞬間、魔王の魔力がフッと消える。
そして食堂に響く笑い声。
「く、くくっ……ははははははっ!」
急に腹を抱えて笑い出した魔王に、ラクトは目を丸くする。
今、何が起こっているのか理解出来ない。
先程まで自分に対して殺気を放っていた魔王が、今は涙を目に溜めながら笑っている。
「な、何が可笑しい!」
頭にクエスチョンマークが浮かんでいるが、理解出来ない故に怒りが先行する。
そんなラクトに、魔王は綺麗な笑顔を向けて言った。
「合格だ」
「は?」
「良いだろう、力を貸してやる」
「いや、だから、え?」
「なんだ、必要ないのか?」
「そうじゃなくて!」
全く意味がわからないラクトは、助けを求めるようにロアに目を向けた。
その視線を受け、一度息を大きく吸ってから吐き出す。
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