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「話はしかと聞き届けた!」
また誰か来た……って風子だ。
仁王立ちが似合う、幼なじみでありたくないヒロイン第一位だな。
「いや、風子は関係ないだろ」
それ以前にこいつには忍術なんかなくても大丈夫だと思うんだが。
予想に反して忍者は首を横に振った。
「ところがところが! テレビをご覧のあなたにだけお教えしましょう。お嬢様もお連れするようマジダルイ殿が仰せです」
こいつまたジャパンネットになってやがる。シノビたる者常に心を無にしてなんぼだろーが。
てかマジダルイって誰だよ。
メンドクサイだろ。
「うん、わかった。反論すると面倒くさいことになりそうだから風子も一緒でいいや」
「待て、猫。面倒くさいとは何事か? よもや我が同行するにあたり異論ありとでも申すのか?」
出た。面倒くせぇ。
なんやかやで意味分からん言いがかりをつけてきたがるから、こいつ。
「いや、だから問題ないって」
忍者はオレらの会話なんか聞いてねぇって風にメガネを外して磨いていた。
忍者ってか見た目は完璧リーマンなんだけど。忍装束以外は。
「その口の利き方はなんだと言っている。不満があるなら申してみよ」
絶対嫌だし。
不満口にしたら理不尽な言い訳してくるじゃねーか。
この前もオレのチャリ無断で使うなって言ったら駐輪場に『拝借』とだけ書いた張り紙して勝手に自転車日本縦断に旅立ってたし。
もちろんチャリは廃車寸前で返ってきた。
「お前がやりたいようにすればいいじゃねーか。てかシノビさん?、もなんか言ってやってよ」
シノビはメガネから目を離してこっち見た。
「送料無料です! 下取りでさらにお得」
くそ……こいつも話が通じねぇ。
「ふむ。ならば仕方あるまいな」
なんで?
なんでソレで納得してんのこの暴走リーゼントメガネは!?
……ま、いいや。
これ以上面倒くさいことになってあらゆる被害がオレに降りかかってくるより数段マシだ。
「じゃあ行くか」
「……なぜ猫が仕切る?」
バカ風子!!
そんなとこにまでつっかかってくんなや。
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