1章<忘れらるる記憶>

10/16
前へ
/56ページ
次へ
フォルトゥナが、戦利品を嬉しそうに持ってきた。 レナス「そうか・・・。鼠は城から来てるんだな?なら、どこかに隠し通路があるはずだ。よくやったぞ、フォルトゥナ!」 フォルトゥナ「みゃう???」 鼠を生け捕りにして、紐を付け、離してやった。 これで、隠し通路の入口がわかるはずだ。 しばらくすると、鼠は石碑の裏側へ回り、姿を消した。 石碑の裏へ回ってみると、石碑の下に、わずかに隙間があった。 力いっぱい石碑を押してみると、少しずつ隙間が広がって、太陽の光で階段が照らし出された。 ・・・が、その奥には闇が広がっている。 一人では、絶対に入りたくないような、静かな闇。 ただの闇でなく、静かに、淀んだ闇・・・。 ・・・今は、フォルトゥナが居てくれる。 そうさ。俺は、一人じゃない。 レナス「さぁて・・・何があるやら。フォルトゥナ、いくぞ!」 俺とフォルトゥナは、真っ暗な階段を、ゆっくり下りて行った。 レナス「さて・・・そろそろ明りが欲しいな。」 フォルトゥナ「にゃあん」 真っ暗な闇の中で、フォルトゥナの眼だけが光っている。 時々、闇の中で動く何か。多分、鼠が見知らぬ訪問者に怯えているのだろう。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加